新年になりました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年は元日から、大変な災害や事故があり、新年を心から祝うことができないような思いです。
日常の尊さを画面から流れる映像を見るたびに思います。
ですから、今日笑顔で登校してくれたことが、貴重なことに思えて、何より嬉しく感じています。
後期後半の始めに際して、私が話したのは次のとおりです。
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江南北小学校の皆さん、おはようございます。 新しい一年となりました。
今ここに、変わらず笑顔で皆さんが集ってくれたことを何より嬉しく思っています。
まず初めに、元日の午後4時10分に石川県能登地方で発生した大型地震では、その地域に住む方々が甚大な被害に見舞われ、多くの方々が亡くなったり怪我をしたりしました。
命こそ助かったものの、今この時点でも、家が崩れ、住める状態ではなく、避難所で過ごさざるを得ない人達がたくさんいます。
多くの人が寒く辛い時を過ごしているのだと思います。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、日常を失った多くの方々へのお見舞いの気持ちや、また一日も早いこの地域の復興への願いを込めて、これから1分間、無言のまま心の中で祈りを捧げましょう。
皆さん立ってください。
私が「黙祷」と言ったら、目を閉じて、静かに祈りましょう。
「黙祷」「直れ」「目を開けましょう」「座ってください」
改めまして、皆さん、後期後半が今日からスタートしました。
私からは、後期後半の始まりに際して、ある本の紹介をします。
「こども六法」という本です。
一月の市報くまがやの裏に、熊谷高校の卒業生で、この本の著者である山﨑総一郎さんの記事がありました。
とても興味深かったので、そのことについて話します。
山﨑さんは小学生の時に他の子供からひどい暴力を受ける悲惨ないじめに遭いました。
その時周りの誰からも助けてもらえなかった辛い経験から、自分で自分の身を守ろうと、進学した中学校の図書室にあった「六法全書」という大人が読む、生活していく上での守らないとならないきまりが書かれた難しい法律の本を読み始めます。
そして、いじめた人たちをいつか見返すため、「弁護士になろう」と決意して、猛勉強を始めました。
その後高校、大学と懸命に勉強を続ける中で、平和な高校の3年間を思い返し、「自分と同じいじめで悩む人が出てきて欲しくない」と強く思うようになります。
山﨑さんは、こう言います。
「いじめや虐待は犯罪です。
人を殴ったり蹴ったり、お金や持ち物を奪ったり、SNSにひどい悪口を書き込んだりすれば、大人であれば警察に捕まって罰を受けます。
それは法律という社会のルールによって決められていることです。
けれど、子どもは法律を知りません。
誰か大人が気づいて助けてくれるまで、たった一人で犯罪被害に苦しんでいます。
もし法律という強い味方がいることを知っていたら、もっと多くの子どもが勇気を出して助けを求めることができ、救われるかもしれません。
そのためには、子ども、友だち、保護者、先生、誰でも読めて、法律とはどんなものかを知ることができる本が必要」と。
そう考えて、大学院生の時に、子供が読んで分かりやすい法律の本「こども六法」を多くの人たちの支援を受け、出版します。
その本がこれです。とても分かりやすくて人気で、今なかなか手に入りにくい本なのですが、興味があったら是非探してみてください。
山﨑さんは、初めは「自分のために」懸命に努力します。
それを続けていく中で、見たり感じたりする世界が広がり、「人のために」と舵をきります。
そして今でも、この「こども六法」を通して、いじめに悩む子供を一人でも救うことができればと活動を続け、さらに活動を広げています。
その山崎さんの姿に、私は素晴らしいことだと感銘を受けました。
皆さん、是非、それぞれ、「これ」と決めて懸命に努力してください。そしてそれを続けてください。そのうちに新たに見えてくるものが必ずあります。
新しい年の初めに、それを皆さんにお願いして校長先生のお話を終わりにします。
※市報くまがやのページへリンクできます。
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